大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)1098 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人土井一夫の上告理由第一点について。

論旨前段は原判決の事実認定における条理違背、理由そごをいうが、その実質は

事実認定の非難にすぎず、上告適法の理由とならない。

論旨後段は、原判決が、重要書証たる甲七号証につき何ら判断しなかつた違法が

あるというが、記録によると、所論甲七号証は特に立証の趣旨を明確に主張して提

出されたものでなく、その文意並びに作成年月(昭和一九年一二月付で日付は記入

がない)に照し、主張事実についての直接証拠とはみられない。同書証は、訴外D

において本件家屋借受の当初(昭和一九年一二月頃)敷金一五○円を差入れた預り

証であつて、敷金まで差入れているのであるから、昭和二七年九月頃上告人と被上

告人間に本件家屋につき賃貸借が成立する際に、上告人と右訴外Dとの間の従前の

二階部分についての賃貸借関係が解約されたはずはないとの趣旨で、上告人と被上

告人間の前示賃貸借が本件家屋全部(二階をも含めて)につき成立したものでない

ことの証拠として提出されたことが弁論の全趣旨から窺われる。すなわち甲七号証

は主張事実の間接証拠として提出されたもので、その文意自体からも直接証拠とな

るような重要書証ではないことがわかる。してみれば、かような書証の証拠力を排

斥するについては特にその理由を明示する必要ないものといわねばならない。(昭

和三○(オ)五○七号同三二年一○月三一日第一小法廷判決民集一一巻一○号一七

七九頁参照)なお、判決に証拠として摘示があり、しかも裁判所がその証拠力を認

めなかつたと解されるときは、その証拠を看過して事実を認定したものということ

はできないのであつて、この点からも原判決には所論の違法はない。

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同第二点について。

所論は原判決引用の第一審判決理由三の条件附契約解除を無効と判断した点につ

き、その事実認定に証拠法則違背、理由不備があるというが、所論の実質は、すべ

て事実認定の非難に帰着し採ることを得ない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとお

り判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 河 村 又 介

裁判官 石 坂 修 一

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